『アルツハイマー病 真実と終焉』を解説(8):インスリン抵抗性を改善する(生活習慣の改善によりアルツハイマー病を治療)で解説した『ケトフレックス12/3』の詳細を説明する。
1.ケト:体が脂肪を燃焼する軽いケトーシス状態に!
2.フレックス:穏やかな菜食主義(flexitarian diet)を目指す
3.12/3:朝ごはんまで12時間空ける、夜ごはんは就寝3時間前まで
4.リーキーガット予防:腸内フローラ(微生物叢)を最適化する
【実践方法】
1.食事全体で血糖値の上昇を抑える野菜食
オーガニック野菜、季節物、地元野菜、遺伝子組み換えでないものなどを採り入れる
・食品の食後血糖値の上昇度 ==> Glycemic index for 60+ foods – Harvard Health
・オーガニック野菜 ==> Dirty Dozen & Clean15
※食後血糖値の上昇度…GI値:グリセミック・インデックスが35未満になるように調理する
2.果物(繊維を含む)をまるごと食べる
フルーツジュースは甘くなり過ぎないように、糖質を減らすためにケールはほうれん草などの野菜を加えるとよい。トロピカルフルーツはGIが高いので、GIの低いベリーなどを食べること。
良質の果物は、自然に実ったもので、色とりどりの野生のベリー類、レモン、ライム、トマト、アボカドなど。
3.特にダメージが大きい食事の3要素を避ける
次のバフーダトライアングル(Berfooda Triangle=特にダメージが大きい食事の3要素)
(1)単純炭水化物
(2)飽和脂肪
(3)(水溶性および不溶性)繊維の欠乏
(例)チーズバーガー、ポテト、ソフトドリンク
を避ける。
繊維が不足数と、炭水化物を吸収しやすくなり、それが炎症の引き金となり、インスリン値を上昇させる。そのため、炭水化物を摂取するなら、先にケール(などの繊維源)を食べることが大事である!
繊維を摂取することは血糖をさげる強力な手段であり、炭水化物の吸収が抑制され、最適な腸内フローラ(微生物叢)を作るのに役立つ。
飽和脂肪は、ケトーシスを引き出すのに素晴らしく役立つが、単純炭水化物と結合し、繊維がない場合は破滅的で、心血管疾患、認知症を生み出してしまう。
4.グルテンと乳製品を避ける
グルテンは大部分の人の腸内膜にダメージを与え、とりわけリーキーガット、慢性的炎症などにつながる。
乳製品に関しては、多くの人はそれが引き起こす炎症に“対応”できる。しかし、リーキーガットと炎症は屋根に空いた36個の穴の2個であり、またシナプスの保存と破壊のバランスが、破壊の方へ傾く2つの要因でもある。ひとつの穴さえ放置しておきたくない。
グルテンブリーの代替品を選ぶ際には、米粉やその他GI値の高い食材を選ばないように注意したい。
5.解毒する植物を摂取し、毒素を減らす
解毒作用のある植物
コリアンダー、アブラナ科の野菜(カリフラワー、ブロッコリー、キャベツ類、ケール、ラディッシュ、芽キャベツ、カブ、クレソン、カブカンラン、ルタバカ、ルッコラ、セイヨウワサビ、マカ、ラピーニ、大根、わさび、チンゲンサイ)、アボカド、アーティチョーク、ビーツ、タンポポ、にんにく、生姜、グレープフルーツ、レモン、オリーブオイル、海草など
6.良質の脂肪を食事に採り入れる
良質の脂肪、アボカド、ナッツ、シード、オリーブオイル、MCTオイル(APoE4を持つ人は摂らない方が良い)、コールドプレス(低音圧搾)の油に含有されている多価不飽和脂肪酸、ナッツなどに含まれる一価不飽和脂肪酸に切り替える。
7.加工食品を避け、自然食品を摂取する
加工食品には、成分表が載っている。加工によって、ぶどう糖果糖液糖から発がん性のある染料、アクリルアミドなどの神経毒など、さまざまなダメージを与える分子が混入する。
新鮮かつ、地元でとれた持続可能なオーガニック野菜なら、こうした毒素を寄せ付けない。
8.魚は必須項目ではない
緩やかな菜食主義。魚には利点と欠点の両方がある。
・利点…オメガ3、タンパク質の良い供給源
・欠点…高濃度の水銀やその他の毒素を有する魚(サメ、メカジキ、マグロ)を避ける
水銀の濃度が低い魚…SMASH魚(サケ、サバ、カタクチイワシ、イワシ、ニシン)
天然物…養殖魚よりオメガ3/オメガ6比が優れていて毒素が少ない。
9.肉は、味付けとして加える(メインディッシュにしない)
1日に摂取するタンパク質の量は、
男性 … 50~70g
女性 … 40~60g
体重1kgにあたり1gのタンパク質で十分。摂りすぎてしまうと、アミノ基転移と呼ばれるプロセスにより、体に炭水化物の負荷がかかる原因になる。
肉以外のタンパク質…豆類、大豆、卵、ナッツなど
肉を食べるなら、オメガ3/オメガ6比が優れている「放牧の鶏や牛」の肉、「平飼い卵」
10.適切な細菌と適切な(細菌の)エサを採り入れる
腸を回復させたら、適切な細菌と適切な(細菌の)エサを与えることで、腸内を最適化する。
・適切な細菌(プロバイオティクス)
以下のような、食事に含まれているものを摂る。キムチ、ワークラウト、酢漬け、味噌汁、コンブチャなど。ヨーグルトもプロバイオティクスだが、糖分を含んでいて、乳製品のため、摂らない方が良い。豆乳も糖が添加されてないもの。
・その適切なエサ(プレバイオティクス)
クズイモ、タマネギ、ニンニク、生の長ネギ、生のキクイモ、タンポポの若葉など
11.消化酵素を摂取した方が良い
食事と一緒に消化酵素(カプセルなど)を摂取するのがとても有益なことが多い。
消化酵素は脂肪の代謝に役立つため、高炭水化物の食事から良質の脂肪が多い食事に変えるときに取り入れるとよい。
12.サプリメントも採り入れる
栄養や認知機能の保護を、以下のサプリメントで最適化する。(本に記載の量)
・ビタミンB1
・パントテン酸
・B6、B12、葉酸の併用
・ビタミンC
・ビタミンD
・ビタミンE
・ビタミンK2
・レスベラトロール
・ニコチンアミドリボシド
・シチコリン
・ALCAR
・ユビキノール
・ピロロキノリンキノン
・オメガ3脂肪酸
・コーヒー果実エキス
13.シナプスの機能に効果的な薬草を採り入れる
本に記載の量を毎日服用
・アシュワガンダ
・オトメアゼナ
・ゴッコラ
・ヤマブシタケ
・ロディオラ
・シャンカプシュピ
・グッグルのエキス
・アマラキ、ハリタキ、ビビタキを配合したトリファラ
14.調理方法による食品へのダメージを回避する
湿式加熱(煮る、蒸す、炊くなど水を利用)、短時間調理、低音調理、またはレモン、ライム、酢などの酸性の食材の使用、食品の選択など、AGEを減らす方法である。
グリル、ロースト、焦がしたり、焼いたり、揚げたりすると、AGEが産生される。
空腹時血糖が高い場合、以下の摂取を検討(本に記載の量、用法)
・ピコリン酸亜鉛
・マグメシウムグリシネイトあるいはトレオン酸マグネシウム
・シナモン
・αリポ酸
・ピコリン酸クロム
・メトホルミン